CG制作会社のPCスペック紹介

こんにちは。スぺラボ東京本社CGクリエイターとろふわです。
最近自宅でもCG制作が出来るパソコン購入を検討しています。
参考に自社でCG制作に使用しているパソコンについて調べてみたら、ハイスペックでした。
スペラボはクリエイター40~50名で1ヶ月に平均800枚のパースを制作しています。1人1枚2日で仕上げる計算です。また、大規模なデータを扱うVR案件も増えています。迅速な納品には当然、画像処理能力の高いマシンが求められます。
そんなスぺラボマシン、せっかくなので紹介します。
快適な3DCG環境を整えたい方はぜひ参考にしてみてください!
パソコンの紹介に入る前に、スペラボで主に使用している3つのソフトウェアのWindows必要動作環境もあわせて紹介しておきましょう。こちらです。
参考:
MAXON
(https://www.maxon.net/ja/cinema-4d/system-requirements/system-requirements-cinema-4d-r21)
Born Digital, Inc.(https://www.borndigital.co.jp/software/v-ray_for_c4d)
Adobe(https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/system-requirements.html)
※2021年4月時点での情報です。
ただし、これらはあくまでソフトが動く必要最低限の環境です。
重いデータの取扱いや快適な動作には、推奨されているスペックが必要になります。
スぺラボのCG制作用パソコンは、専門スタッフが個別にチューニングを施したオリジナルマシンです。用途に合わせて異なる構成で組まれています。
そんなスぺラボパソコンは用途ごとに大きくわけて5種類あります。
CG制作において特に重要なパーツである、CPU、メモリ、ストレージ、GPUの4つをマシンごとに比較しました。
1.作業マシン
スタッフひとりひとりに割り当てられている作業マシン。レンダリング以外の作業を行います。
たとえば、Cinema4Dを使った3Dデータの作成、Photoshopでの補正や、メールのやりとりなど主な作業はこちらで行います。
CPU AMD Ryzen 8コア 3.7GHz
メモリ 32GB
ストレージ 1TB(SSD)
GPU GeForce RTX 8GB
作業マシンはバランスよく組まれたオールマイティタイプ。多くのアプリケーションを使用するためストレージに余裕のある構成です。GPUのグレードもレンダーマシンより高いものになっています。
モデリング作業のラグが少なく、他のマシンに比べて快適にCinema4Dの操作が出来ますが、他のマシンと比べて、レンダリングにかかる時間が長いです。
2.プレビューマシン
Cinema4Dで確認用のプレビューレンダリングを行うマシンです。
大体各チームに1台ずつ割り振られています。
画面右下の足元にあるのがプレビューマシンです。 棚上のディスプレイでレンダリング状況をチェックします。
CPU AMD Ryzen Threadripper 16コア 3.4GHz
メモリ 48GB
ストレージ 500GB(SSD)
GPU GeForce GTX 11GB
レンダリング速度向上のために高性能CPUを使っています。使用アプリケーションが限られるため、ストレージは控え目な構成。
CPUレンダリング中は負荷がかかり動作が重くなることから、このマシンでプレビューレンダリングをかける事が多いです。
複数の案件を並行して進めているため、Aのプレビューレンダリング中にBのモデリングを進める……というように時間の有効活用に役立っています。
プレビューマシンと侮るなかれ、なんと作業マシンの倍速でプレビューレンダリングが上がります!
3.レンダーマシン
レンダーマシンは、Cinema4Dレンダリング用のマシンです。
東京本社のレンダーマシン。ずらっと14台が並んでおり壮観です。 名古屋・大阪の2つの支店にも、計7台レンダーマシンがあります。
CPU AMD Ryzen Threadripper 16コア 3.4GHz
メモリ 64GB
ストレージ 500GB(SSD)
GPU GeForce GTX 11GB
プレビューマシン同様、CPUの性能が高い構成です。
全部同じ台のように見えますが、台によって入っているアプリケーションやバージョンに若干の違いがあり、スタッフそれぞれお気に入りの台があります。
スペック的にはCPU、ストレージ、GPUがプレビューマシンとほぼ同等の性能です。
上部にはレンダリングの様子を確認するためのモニターが備えられていますが、最近はリモートでレンダリングをかける習慣がついたため、使用頻度がめっきり低くなりました。
4.ハイレンダーマシン
高性能レンダーマシンです。ノーマルレンダーマシンの2倍の速度でレンダリングが上がります。時間のかかるレンダリングや急ぎの際に使用します。
レンダーマシンよりもコンパクトな躯体なのにサーキュレーターを2台も使用しているあたりに風格を感じさせます。
CPU intel Xeon 18コア 2.3GHz + 18コア 2.3GHz
メモリ 32GB
ストレージ 500GB(SSD)
GPU Quadro 4GB
こちらもCPUが高性能の構成。大きな特徴はCPUが2つ搭載されているところです。
しかも18コアCPU!ノーマルマシンの半分の表示時間でレンダリングが上がります。
困った時のハイレンダー。納品日までの日数が短いレンダリングはこいつが頼りです。
5.モンスターマシン
スペラボで一番のスペックを誇る特別なレンダリングマシン。通称「モンスターマシン」です。
ハイレンダーマシン同様に急ぎのレンダリングや、弊社VR事業部の大規模なデータのレンダリングにも使用されています。
CPU Ryzen Threadripper 32コア 3.7GHz
メモリ 64GB
ストレージ 250GB(SSD)
GPU ー
まさにCPU性能に特化した構成。社内随一のコア数です。
テストレンダリングをしてみたら、ハイレンダーの約1.5~2倍の速度でレンダリングが上がりました。後から追加されたマシンで馴染みが薄かったため私はいままで使用していなかったのですが、これからはどんどん使って時短しようと思います。
気になるレンダリング所要時間は……?
マシンが出揃ったところで、実際にパースをレンダリングにかけ、完了までにかかる時間を計測してみました!
夜景のレストランのシーン。屈折マテリアルも多く、なかなかにレンダリング時間がかかりそうですが……。
レンダーマシン 1時間51分36秒
ハイレンダーマシン 1時間2分3秒
モンスターマシン 39分33秒
いずれも制作現場の第一線で使用しているマシンです。
メモリは少なくとも32GB積まれているなど全体的なスペックの高さは勿論、用途によって構成にかなり違いがあることが分かりました。
レンダリング速度を重視しない場合はCPUを控えめにしたり、使用アプリケーションが少ない場合はストレージを抑えるなど、カスタマイズの参考にできそうです。
まずは自分の作業マシンのスペックを目安に自宅のPCを組んでみようかと思います。
今回ご紹介したマシンと同等のワークステーションを、スペラボ関連会社であるCybabaで販売しています。
気になる方はぜひチェックしてみてください。
▼この記事を書いた人